message & diary
message & diary
弁護士費用特約とは―使い方と、意外と知られていない活用法|旭川の交通事故被害者側専門弁護士が解説
交通事故で弁護士に依頼する際、弁護士費用特約を使えば自己負担がほぼゼロになることが多いのをご存じですか。
使い方、適用範囲、家族の保険で使えるケース、よくある誤解を、交通事故の解決実績300件以上、弁護士経験17年の旭川の被害者側専門弁護士が解説します。
交通事故に遭い、保険会社との交渉や後遺障害の申請を弁護士に頼みたい。しかし、「弁護士費用が高いのではないか」「費用倒れになるのではないか」という不安から、相談に踏み切れない―。
そうした不安を解消する仕組みが、弁護士費用特約(弁護士特約)です。
弁護士費用特約を使えば、弁護士への相談料・着手金・報酬金の多くが、ご自身の自動車保険から支払われます。被害者ご自身の持ち出しは、ほとんどの場合ゼロか、わずかな金額で済むことが多いです。
このコラムでは、弁護士費用特約の仕組み、使い方、意外と知られていない活用法、そしてよくある誤解を整理します。
Ⅰ 弁護士費用特約の仕組み
弁護士費用特約は、自動車保険(任意保険)のオプション(特約)として付帯される補償です。交通事故の被害者になった場合に、弁護士への相談料や依頼費用を保険会社が負担する仕組みです。
補償の範囲と上限額
多くの保険会社の弁護士費用特約では、以下のような補償が設定されています。
- 弁護士への相談料:上限10万円
- 弁護士への依頼費用(着手金・報酬金・実費):上限300万円
上限300万円という金額は、交通事故の賠償交渉における弁護士費用のほとんどをカバーできる水準です。賠償額が数千万円規模の重症事案でない限り、被害者の自己負担が発生するケースは少数です。
使っても保険料は上がらないことが多い
弁護士費用特約を使っても、翌年の保険料は上がらないことが多いです(保険会社に確認してみてください)。
これは、自動車保険の「事故あり係数」が適用されるのは対人・対物賠償保険や車両保険を使った場合であり、弁護士費用特約の利用は「保険事故」としてカウントされないためです。
この点を知らずに、「保険料が上がるから使いたくない」と考えている方が少なくありません。安心して使えることが多い特約です。
Ⅱ 使い方――具体的な手順
弁護士費用特約の使い方は、難しくありません。基本的な流れは以下のとおりです。
手順1:特約の加入を確認する
まず、ご自身の自動車保険に弁護士費用特約が付帯されているかを確認します。保険証券(保険契約の書類)を確認するか、加入している保険会社に電話で問い合わせれば分かります。
手順2:保険会社に利用の連絡をする
弁護士費用特約を使う旨を、ご自身の保険会社に連絡します。「交通事故に遭い、弁護士に相談・依頼したいので、弁護士費用特約を使いたい」と伝えるだけで構いません。
手順3:弁護士を選ぶ
弁護士は、被害者ご自身が自由に選べます。保険会社から弁護士を紹介されることがありますが、その弁護士に依頼する義務はありません。交通事故に詳しい弁護士を、ご自身で選ぶことをお勧めします。
手順4:弁護士に依頼し、保険会社に報告する
弁護士と委任契約を締結した後、保険会社に弁護士の氏名・事務所名・費用の見込みなどを報告します。弁護士費用は、弁護士から保険会社に直接請求されるのが通常ですので、被害者が立て替える必要は基本的にありません。
Ⅲ 意外と知られていない活用法
弁護士費用特約には、「自分の車の保険にしか使えない」と思われがちですが、実際にはもっと広い範囲で使える場合があります。
① 家族の保険の特約が使える場合がある
弁護士費用特約の多くは、契約者本人だけでなく、同居の家族や別居の未婚の子にも適用されます。つまり、ご自身の保険に弁護士費用特約が付いていなくても、以下の方の保険に付いていれば使える可能性があります。
- 配偶者の自動車保険
- 同居の親の自動車保険
- 同居の子の自動車保険
- 別居の未婚の子の場合、親の自動車保険
事故に遭ったら、ご自身の保険だけでなく、ご家族の保険証券も確認してみてください。
② 歩行中・自転車乗車中の事故にも使える場合がある
自動車に乗っていたときの事故だけでなく、歩行中や自転車に乗っていたときに自動車事故の被害に遭った場合にも適用されることがあります(ただし、特約に入っていることが必要です)。「車に乗っていなかったから使えない」と思い込んでいる方が少なくありませんが、保険の約款を確認してみてください。
③ 物損事故でも使える
弁護士費用特約は、人身事故に限らず物損事故でも利用できるのが一般的です。「ケガはないが、車の修理費用で相手ともめている」という場合にも使えます。
④ 相談だけでも使える
弁護士に正式に依頼する前の「法律相談」の段階でも、弁護士費用特約が使えます。相談料(通常1時間1万円程度)が保険から支払われるため、「まず相談だけしてみたい」という場合にも気軽に利用できます。
なお、当事務所では初回相談料は無料ですので、弁護士費用特約の有無にかかわらず、ご相談に費用はかかりません。
Ⅳ よくある誤解
誤解1:「保険会社に紹介された弁護士に頼まなければならない」
保険会社から弁護士を紹介されることがありますが、その弁護士に依頼する義務はありません。弁護士の選任権は被害者にあります。交通事故に精通した弁護士を、ご自身で選ぶことを強くお勧めします。
紹介される弁護士は、必ずしも交通事故を専門としているとは限りません。また、保険会社と提携関係にある弁護士の場合、被害者側の利益を最大化する動機が弱まる構造的な問題も指摘されています。
誤解2:「保険料が上がるから使わないほうがいい」
前述のとおり、弁護士費用特約を使っても保険料は上がらないことがほとんどです。使わないのは、保険料を払っているのに補償を受け取らないことと同じです。
誤解3:「少額の事故では使えない」
弁護士費用特約に、賠償額の最低金額の条件はありません。賠償額が小さい事故でも、むちうちで通院中の事故でも、利用できます。
誤解4:「加害者が100%悪い事故でないと使えない」
被害者にも過失がある事故(過失割合が100:0でない事故)でも、弁護士費用特約は利用できます。過失割合に関係なく使えるのが一般的です。
誤解5:「事故からかなり時間が経っているので、もう使えない」
事故からの経過期間によって弁護士費用特約が使えなくなるということは、通常ありません。ただし、損害賠償請求権自体に時効がある(人身事故は原則5年)ため、請求権の時効には注意が必要です。
Ⅴ 弁護士費用特約がない場合
弁護士費用特約に加入していない場合でも、弁護士への依頼を諦める必要はありません。
当事務所は完全成功報酬制を採用しています。初回相談料・着手金は無料で、報酬は実際に増額・獲得できた賠償金から精算します。お手元から先に費用をご負担いただく必要はありません。
ご依頼前に、増額の見込みと弁護士費用の概算をお伝えし、経済的合理性(弁護士に頼むメリットが費用を上回るかどうか)を一緒に確認します。費用倒れになる可能性がある場合は、その旨を率直にお伝えします。
Ⅵ 最後に
弁護士費用特約は、多くのドライバーが保険料を支払って加入しているにもかかわらず、使われないまま終わることが非常に多い特約です。「こんな仕組みがあったなんて知らなかった」「もっと早く使えばよかった」という声を、実務の中で頻繁にお聞きします。
交通事故に遭ったら、まずはご自身の保険証券を確認してください。そして、ご家族の保険証券も確認してください。弁護士費用特約が見つかれば、弁護士への相談・依頼の費用面のハードルはほぼなくなります。
大石法律事務所は、交通事故の被害者側のみの受任を方針とする、旭川・道北地域の事務所です。弁護士費用特約の利用にも対応しています。初回相談は、特約がない方も無料です。
関連記事