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脳外傷後に有用なMRI画像について|旭川の交通事故被害者側専門の弁護士が解説

2026.03.17
コラム

交通事故の解決実績300件以上、弁護士経験17年の旭川の弁護士が、「脳外傷後に有用なMRI画像」について解説します。


微細な外傷性脳損傷の評価においては、CTのみでは十分でなく、MRIが重要です。

とりわけ、MRIの中でも、脳挫傷の検出にはFLAIR、微小出血の検出にはT2*・SWIが推奨されており、急性期にはDWIの併用も有用とされています。

※後記「自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会『自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について』報告書」参照


そして、外傷による画像所見は、時間の経過とともに不明瞭になり、あるいは描出されにくくなる場合があります。

そのため、受傷早期に適切な検査を受けることが重要です。


また、横断像のみでなく冠状断像を撮影すべき場合が多くあります。


FLAIRの冠状断像

これは、後遺障害認定に関わっておられる多くの医師が推奨する撮影方法です。


もっとも、一般の方がMRI画像の種類まで調べた上で、必要な撮影方法を医療機関に適切に伝えることは容易ではありません。

頭部外傷を負われた場合には、早期の段階で弁護士に相談し、必要な画像が確保されているかも含めて検討しておくことが有益です。

旭川・道北地域でご相談先にお困りの場合には、大石法律事務所の無料相談もご利用ください。







「自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会『自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について』報告書」


(1)井田医師の意見陳述

井田医師は放射線診断学が専門である。当委員会の検討対象となっている最新の画像診断技術によって、どこまで微細な脳損傷を含む判断が可能なのかについて、実際の画像を参考に説明を行った。

① 米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:以下「CDC」という。)によれば、米国におけるMTBIの人数は年間170万人いるとされているが、交通外傷だけでなく、スポーツ外傷や退役軍人も含まれるので、日本とは背景が異なると思われる。


② MRIの利点は被曝がない点であるが、一度に全身を撮影することができないので、スクリーニングとして用いるのは難しい。

急性期における出血を診断するには、CTが基本であり、外傷時の第一選択はCTである。

外傷ではCTが重要となるが、微細なものを見るときにはMRIが必要になる


③ 脳挫傷の検出に関して、脳挫傷は脳表に多いことを考えると、T2強調画像の中でも特にFLAIR(fluid attenuated inversion recovery:以下「FLAIR」という。)があると分かりやすい

この点、FLAIRの方がT2強調画像よりも高信号のコントラストが高く、病変の検出率が高いことから、微細な外傷を見逃さないためには必須である。

また、CTでは描出されない所見でも、T2強調画像あるいはFLAIRでは描出されることがあるので、CTで異常所見がなくても、神経学的な異常があれば、早期にMRIを撮影すべきと考える。


④ また、脳挫傷は前頭葉と側頭葉に多く、横断像のみでなく冠状断像も撮影すべきである。

頭蓋底部の箇所の外傷については、FLAIRの冠状断のほうがよく分かる。


⑤ 一般的な脳挫傷であれば、T2強調画像でも分かるが、発症直後の微細な脳挫傷を見つけるには、拡散強調画像(diffusion-weighted imaging:以下「DWI」という。)が有用である。

DWIでは、FLAIRで描出できない急性期の小さな脳病変を描出することができ、臨床においては、急性期の脳梗塞や腫瘍における良悪性の診断に用いられる。


⑥ 微小な出血を見つけることに関しては、T2スター強調画像(以下「T2*」という。)と、磁化率強調画像(susceptibility-weighted imaging:以下「SWI」という。)を撮影することがコンセンサスを得ている。

SWIには、造影剤を使わなくても静脈を描出することができること、微小な出血を検出すること、異常鉄沈着を検出することの3つの利点がある。


⑦ SWIや急性期のDWIを合わせて診断することが、微細なレベルの出血を捉えることができる唯一の方法であると考える。

軸索損傷を診断するときには、DWIを急性期に撮影し、SWIを急性期・慢性期に関わらず経時的に撮影するというのが必要となる。

ただし、DWIにより急性期の所見か否かを判断できるが、SWIのみをもって、外傷性の所見か否かを確定診断することは難しい。


⑧ 拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging:以下「DTI」という。)やfMRI(functional MRI:以下「fMRI」という。)など脳機能画像による画像診断については、それらのみでは、脳損傷の有無、認知・行動面の症状と脳損傷の因果関係あるいは障害程度を確定的に示すことはできないという平成23年報告書の結論に変更はない。

脳機能画像に所見が描出されたとしても、それが高次脳機能障害と因果関係があるのか、また、今回の外傷に起因するものなのかということについては、加齢変性や退行性変化との鑑別が難しいので、個々の外傷症例における診断に有用であるとは考え難い。

ただし、現在は群間比較しかできないが、継続的に同条件・同方法で撮影すれば、個々の症例として、神経線維、神経の変性が進行して脳機能が低下するということが証明できるかもしれない。


MRIスキャンの監視風景